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冬の悪魔「アイスバーン」のリスク|中古車はタイヤとサビに注意!

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こんにちは、CARさっぽろです!

 

寒冷地で暮らしている人にとって、運転中に毎年ヒヤッとするのが「アイスバーン」ではないでしょうか。

 

一口にアイスバーンといっても、ブラックアイスバーンやミラーバーンなど、路面状況は地域・環境によって異なります。

 

加えて、中古車を運転する場合は、新車とは違うポイントに注意を払う必要があります。

 

この記事では、冬の悪魔「アイスバーン」のリスクについて、中古車ドライバーの愛車・命を守る視点から解説します。

 

 

そもそも「アイスバーン」とは?

 

 

アイスバーンとは、一言でいうと「凍結路面」のことで、道路上の水分が凍結してツルツルに滑りやすくなっている状態をいいます。

 

氷が発生する温度は0℃ですが、気温と路面の温度は一致しないことが多く、地表温度が低い場合は気温3℃前後でもアイスバーンが発生します。

 

アイスバーンの主な種類

 

アイスバーンは、主に以下の3種類に分類されます。

 

圧雪アイスバーン 降り積もった雪がタイヤで踏み固められた状態
スタッドレスでは比較的停車しやすいものの、滑りやすいため注意
ミラーバーン 交差点などでタイヤが雪を踏み固めるうちに、鏡のように磨き上げられた状態をいう
都市部の交通量が多い場所では、前の車にぶつかるリスクが高まる
停車時・発進時のスリップには特に注意
ブラックアイスバーン アスファルトの表面に氷が張った状態 一見すると「濡れているだけ」に見えるため最も発見が遅れやすく、乾いた路面と誤認してスピードが出ていると、死亡事故につながるケースも少なくない

 

 

アイスバーンは「濡れた路面の約8倍」止まりにくい

 

 

JAFが2013年1月に行った、ブラックアイスバーン下における車の制動距離に関するテストによると、路面状況に応じて制動距離に違いが見られました。

 

なお、制動距離とは「ブレーキペダルを踏み始めてから、車両が完全に停止するまでに進む距離」のことをいいます。

 

ウェット路面(濡れた路面) 11.0m
圧雪路面 20.2m
ブラックアイスバーン 69.5m
氷盤路面(アイスバーン) 84.1m

※時速40kmから急ブレーキを踏んだ際の測定結果

 

単純計算すると、アイスバーンは濡れた路面に比べて約8倍の制動距離となっており、概ね安全運転に分類される速度域でもブレーキで止まりにくいことが分かります。

 

4WD

 

寒冷地で車を選ぶ際、4WDなら冬道に強いと考えるドライバーは多いかもしれません。

 

しかし、4WDは決して万能ではない点に注意が必要です。

 

確かに4WDは、雪道などで「進む力(発進・登坂)」を発揮しやすく、その点において頼りがいのある車種です。

 

その一方で、制動能力(ブレーキ)に関しては、2WD車とさほど性能は変わらない車種が多く見られます。

 

JAFが2018年2月に行ったブレーキテストによると、圧雪路・勾配9%の下り坂で時速40kmからブレーキをかけた際、実験で使用した車両4台の制動距離は以下のようになりました。

 

ワゴンR(2WD) 29.1m
プリウス(2WD) 32.9m
CH-R(4WD) 35.3m
ランドクルーザープラド(4WD) 39.6m

 

このことから、制動距離については駆動方式の違いはなく、むしろ車重がある4WD車は軽量な2WD車に比べて停車しにくいといえるでしょう。

 

 

アイスバーンを走る中古車購入時の注意点

 

 

冬場に中古車の購入を検討している場合、アイスバーン対策の一つとして、車の「コンディション」にも意識を向ける必要があります。

 

具体的には、次のような“中古車ならでは”のポイントに気を配りましょう。

 

「スタッドレス付き」は製造年を確認する

 

いわゆる「スタッドレスタイヤ付き」の中古車は、一見お得に感じますが、実は落とし穴があります。

 

スタッドレスタイヤは、ゴムの柔らかさで氷をつかむようにして車を制動します。

 

そのため、仮に溝がたっぷり残っていたとしても、製造から4〜5年以上経過したタイヤはゴムが硬くなっており、アイスバーンでは本来の性能を発揮できないおそれがあります。

 

製造された時期を確認するためには、タイヤの側面にある4桁の数字(セリアル)を確認することが大切です。

 

例えば「3120」なら、2020年(20)の31週目(31)に製造されたタイヤであると分かります。

 

実車確認時、スタッドレスタイヤが付いている場合は、新しいものかどうか確認してから購入を検討しましょう。

 

融雪剤(塩カリ)による「下回りのサビ」もチェック

 

アイスバーンは危険な路面状況の一つであることから、冬道では道路に融雪剤(塩化カルシウムなど)が散布されます。

 

これは雪を解かすという観点からは重要である一方、その強力な塩分が、車のボディや下回りの鉄を急速に錆びさせます。

 

特に、下回りやボディの防錆塗装・コーティングを定期的に行っていない車は、行っている車に比べてサビが目立ちます。

 

よって、購入前の段階で、下回り・タイヤ周りのボディが錆びついていないかどうかチェックしましょう。

 

 

自動ブレーキの限界を知る

 

衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)は、カメラやレーダーで障害物を検知します。

 

しかし、最新型でないシステムの場合、猛吹雪や逆光などの条件下においては、正常に機能しない可能性は否定できません。

 

アイスバーンにおいては、車に備わっている安全機能に頼らず、自力で車をコントロールする意識を持ちましょう。

 

 

アイスバーンが発生しやすい「魔のスポット」

 

 

冬道において、特にアイスバーンが発生しやすい場所としては、次のようなスポットがあげられます。

 

橋・陸橋の上 地熱が伝わりにくく、上下から風が吹き抜けるため、路面が凍結しやすい
トンネルの出入口 トンネル内は問題なく走行できても、出入口は凍結しているため、スピードを落としていないと危険
カーブ(日陰部分) 日向から日陰部分に進んだ際、スリップやスピンに至るリスクがある
交差点・踏切前 多くの車が雪を踏み固めるうちに、非常に滑りやすくなっているため注意

 

これらのスポットを運転する際は、十分に注意して運転しましょう。

 

 

まとめ

 

アイスバーンを運転する際は、乾いた路面はもちろん、濡れた路面に比べて圧倒的に停車しにくい点に注意しましょう。

 

4WD車を運転している場合であっても、発進はともかくブレーキ時は2WD車とさほど性能が変わらないため、過信は禁物です。

 

また、冬道の運転を想定して中古車を選ぶ場合は、一緒に付いてくるスタッドレスタイヤの製造時期や、下回りのサビもチェックしたいところです。

 

車の性能やコンディションを踏まえつつ、普段より早いタイミングでブレーキをかけるなど、より安全運転に気を配ることが大切です。